【人件費を削減?】固定残業代を導入すると

はじめに固定残業代(みなし残業代)とは「時間外労働、休日労働、深夜労働の有無にかかわらず、一定時間分の割増賃金を定額で支払われる残業手当」のことです。

イメージするためシミュレーションしてみます。

 

総支給額:210,000円(月給制)

1ヵ月の平均所定労働時間:168時間 と仮定します。

 

(例)設定時間を30時間とした場合

 

【導入前】

基本給:210,000円

 

【導入後】

基本給:171,678円

固定残業代:38,322円(30時間分) ※時間単価:1,021.89円

総支給額:210,000円

 

このように、基本給を大幅に下げる事によって浮いた所に固定残業代がすっぽり埋まるイメージです。

 

(例)固定残業代35,000円として固定した場合

  

【導入後】

基本給:175,000円

固定残業代:35,000円(26.8795時間分) ※時間単価:1,041.67

総支給額:210,000円

 

このように、金額を固定した場合、設定時間が小数点になりがちです。

ですので、出来れば設定時間を固定したうえで固定残業代を設定する事をお勧めします。

 

<固定残業代を導入する事のメリット>

 

①基本給を低くする事で残業代を抑える事ができる。

→最大のメリットです。基本給を下げて残業代を一定額支給する事で残業代の支出を抑える事になります。

 

②求人にて月給額を多く見せる事ができる。

→ネット求人を一覧で見ている際、基本給ではなく月給の表示が多いです。そのため閲覧数の向上が見込めます。詳細ページには、月給〇〇円のうち固定残業代〇〇円を含みますという表示は必要です。

 

③従業員の労働効率が上がる可能性がある。

→超過するような残業をしない限り残業しようがしまいが一定額ですので、余計な残業時間が減る可能性が有り、その結果労働効率の上昇が見込めます。

 

 

<固定残業代を導入する事のデメリット>

 

①最低賃金を下回らない時間単価を意識する必要がある。

→毎年10月に最低賃金が改定されます。近年では20円以上の上昇しているので、ギリギリの時間単価で基本給を決めている場合は要注意です。下回ってしまったら、最低賃金以上の基本給で再計算を行います。

 

②超過分の計算を行う必要がある。

→おろそかになりがちですが、残業時間集計および割増賃金の計算は必須です。時間外労働に加えて休日労働や深夜労働の割増も合計して固定残業代を下回っているかの確認を行います。

 

③基本給の昇給や手当の追加があった際、固定残業代を再計算する必要がある。

→基本給や手当の追加があると、単価が変動するので、固定残業代も変動します。

 

 

【固定残業代を導入するには】

・就業規則に規定する or 労働条件通知書や雇用契約書に記載する。

・在籍中の労働者に導入する場合、基本給を下げることは不利益変更になるため各従業員の同意が必要です。

(不利益変更の詳細はこちら

そのため、求人の段階から今後入社する方に対して適用するのが無難かと思います。

  

固定残業代の導入に興味がありましたらお気軽に当事務所にご相談ください。